日本でヒップホップが「フリースタイルダンジョン」や「高校生ラップ選手権」によって00年代初頭とは比べ物にならないくらいシーンが徐々にお茶の間に浸透していっている今日この頃、2019年。

しかし最近「MCバトル」がスポーツ化している事は間違いない
それによって少しばかり方向性がブレてしまい、
そのせいで日本語ラップもといヒップホップ自体が「ダサい」とまた言われてしまうようになってしまう可能性もあると僕は思ってしまう。
そしてその理由は間違いなく、「MCバトル」にある。
MCバトルとは、ラッパー同士が1vs1で
8小節のビートに即興でラップを乗せ、フリースタイルのスキルを競い合い勝敗をつける事である。要は音に乗った口喧嘩。

先述したように、元々MCバトルはアンダーグラウンドで日の目を浴びないラッパー達が売れるチャンスを掴むために自分達のスキルを見せつけるために行なっていたモノ。
現在は地上波でもMCバトルが「フリースタイルダンジョン」によって流れ、全国で大会が行われ、YouTubeでも無料で観れるようにもなり、昔のような一触即発のバチバチの緊張感は無くなった。最近のバトルシーンはリアルなラッパーより、アスリート化したMCが多いように感じる。YouTuberもよく分からないラップをしているし。
しかし、スポーツ化するのが一概に悪いとは言えない。
勿論ヒップホップジャンルの曲がアメリカの様に毎週ビルボードにチャートインするようになるには今の日本ではまだもう少し先の話になるだろうし、
分かりやすい入り口にMCバトルがあって、そこから音源に辿り着いてもらうのが1番スムーズであると思う。
しかしそのMCバトルが今誰でもマイク1本で参加できるという手軽さから、いい面と悪い面が出てしまっているのだ。

まあ間違いなくコレである。
日本全国各地方で開催されているMCバトルの大会に誰でも参加できるようになったことで、MCバトルにしか出ないのにラッパーと名乗る「人」が増え・・・
又、曲が売れないからいつまでもMCバトルにしがみついてるラッパーが増えてしまった事が少しばかり残念である。
勿論ステージに立っているのはリスペクトしている、
しかしラッパーと名乗るならば曲を出してナンボ、曲を認知してもらう為に自分の名前をバトルで売っていく、というのが本来のスタイルである。
代表的な例としては、
R-指定
(画像左がR-指定、右はDJ松永)
最強のフリースタイルラッパーとしてUMBで前人未到の全国三連覇。
現在はDJ松永とコンビを組みCreepy Nutsとしてメジャーデビュー、ロックフェスにも呼ばれ、ヒップホップ界を超えて日本全国にその名を轟かしている。
PUNPEE
2006年UMB東京予選で実力者KEN the 390に勝利しその名を轟かせ、
2009年には世界的なサンプラーメーカーAKAIが主催する「AKAI PROFESSIONAL PRESENTS SAMPLER BATTLE GOLDFINGER’s KITCHEN 2009」にDJとして出場、圧倒的なパフォーマンスを見せつけ、
翌年にはPSGとして『David』を発表、
このアルバムがヒップホップ界隈で高評価を受け、一気にスターダムへ、
現在はフジロックへ出演、宇多田ヒカルとコラボ、水曜日のダウンダウンのBGM担当など多岐に渡ってそのセンスを発揮している。
↓そんな一曲がこちら
そして
漢a.k.aGAMIの様に1人のアーティストとして確固たる地位を築き上げても日本のヒップホップシーンのためにバトルに出続けるという方達もいる。


鬼のリスペクトを送ります。
この様に1人のラッパーが知名度を上げるきっかけになるのがMCバトルの本来の姿である。

売れる売れないはまた別の話
ただ、今はラッパーと名乗りながら曲を出さずにバトルをし、
リアルはなんだ、ラッパーはなんだとほざきまくっている。

てめーこそなんなんだと問いたい。
僕だってヒップホップにのめり込んだ最初の入り口は「MCバトル」でしたし、Rー指定や鎮座ドープネスのフリースタイルに心臓を貫かれ、関連動画にあったPUNPPEの「お嫁においで」に心臓を貫かれました。

もう二回死んだ
だからこそヒップホップ、MCバトルを愛しているからこそスポーツ化せずにバッチバチのバトルを繰り広げて頂きたい。
そしてラッパーには、イケてるイケてないはまた別の話としてバトルに出るなら曲を出してから出て欲しい、それだけで見る目が変わる、少なくとも僕は。
ちなみにこれからシーンで伸びしろえぐいなーと思うのはSKRYUです。

鬼の上から目線
まあ言いたいことは、曲を出すのが正義っていう・・・
では。日本語ラップの繁栄を祈って、
Damn